キャッシング・ローンの法律ガイド



貸金業者の身分証明書の携帯

貸金業者の身分証明書の携帯について

貸付けに関する業務だけでなく、金銭の貸付けや賃借の媒介に付随するすべての業務に従事する者に、従業員であることを証する身分証(証明書)を携帯させなければ、業務に従事できなくなりました。

身分証明書を携帯していない場合について

その場合には、100万円以下の罰金だけでなく、業務停止の処分になります。

従業員について

法律上には、「貸金業の業務に従事する使用人その他の従業員」とあるのですが、ここでいう使用人や従業員というのは、貸付に関する業務、金銭の貸付と賃借の媒介に付随する一切の業務にかかわるものをいいます。

具体的には、常勤・非常勤、パート、派遣社員を問わず対象になります。

対象にならない人としては、顧客と対面で交渉などを行わない内勤者や、ティッシュ配布・リーフレット類の配布等を行う人(外部委託を含みます)などです。これは、金融庁事務ガイドラインにあります。

貸金業者の従業員であることを証する証明書について

貸金業者の従業員であることを証する証明書には、次のような事項が記載されています。また、証明書には、従業員の写真も貼り付けることになっています。

■貸金業者の貸金業に従事する場合
・貸金業者の商号、名称または氏名、住所および登録番号
※登録回数は省略できます。
・従業員の氏名

■貸金業者の委託によって、貸金業の業務に従事する場合(この場合は、貸金業者の委任を受けて貸金業を代理する場合を含みます)
・貸金業の業務を委託した貸金業者の商号、名称または氏名、住所および登録番号
※登録回数は省略できます。
・貸金業者の業務を委託した貸金業者の商号、名称または氏名、住所および委託された者が貸金業者の場合はその登録番号
※登録回数は省略できます。
・当該貸金業者が貸金業の業務を委託した旨
・従業員の氏名

証明書を携帯する理由

この身分証明書の携帯が義務付けられたことで、取立てを行なう人が、自分の身分や身元を明らかにすることになりますので、債務者への強引な取立てを抑制するという効果が期待されるからです。また、無登録者の摘発も容易になると期待されます。

関連トピック
無人店舗の登録について

無人店舗は、貸金業規制法上の「営業所又は事務所」に含まれますので、開設時は、事前にその名称と住所を届け出なければなりません。

自動契約受付機の法律の定義

貸金業規制法施行規則では、営業所や事務所が次のように細かく定義されていて、自動契約受付機についての位置付けも記載されています。

「貸金業者又はその代理人が一定の場所で貸付けに関する業務(法第2条第1項に規定する貸付けの契約の締結並びに貸付けの契約に基づく金銭の交付及び債権の回収をいう。以下同じ。)の全部又は一部を継続して営む施設又は設備(自動契約受付機、現金自動設備(現金自動支払機及び現金自動受払機をいう。以下同じ。)及び代理店を含む。)をいう。ただし、現金自動設備にあっては、営業所等(現金自動設備を除く。)の同一視基地内(隣接地を含む。)に設置されたものを除く」

ということで、現金自動支払機(CD)や現金自動受払機(ATM)は、「現金自動設備」と定義されています。

また、「現金自動設備」を除く営業所等の同一敷地内や隣接地に設置する場合には、独立の営業所等として登録する必要はないとされています。

ただし、自動契約受付機(無人店舗)は、「営業所又は事務所」なので、「現金自動設備」のような明示の除外規定はありません。

しかしながら、この場合でも、無人店舗を有人店舗の同一敷地内に設置する場合や、壁を隔てた隣接地に設置する場合には、一つの「営業所又は事務所」とみることができると思われます。

平成16年1月1日から施行された貸金業規制法の改正

自動契約受付機(無人店舗)は「営業所又は事務所」になりますので、登録について次のものが変更されています。

■登録申請書の記載事項と貸金業登録簿の登録事項に次のものが追加されました。
・ 営業所等に設置される貸金業取扱主任者の氏名
・ その業務に関して広告・勧誘を行なう際に表示をする営業所等の電話番号※1

■登録申請者の添付書類に次のものが追加されました。
・ 登録申請者(法人の場合は役員)および重要な使用人に係る運転免許証、パスポート等の本人確認が可能な写真の添付された公的証明書等の写し
・ 営業所または事務所の所在地を証する書面またはその写し※2

※1 この電話番号は、貸金業規制法施行規則では次のように規定されています。
「場所を特定するもの及び当該場所を特定するものに係る着信課金サービスに係るものに限る」
これは、要するに、固定電話(FAX、フリーダイヤルを含みます)だけが認められていて、携帯電話やIP電話などは認められていないということです。
そのほかにも、連絡先としてホームページアドレスや電子メールアドレスもありますが、これらには固定電話の電話番号を併記しなければならないことになっています。

※2 「営業所または事務所の所在地を証する書面またはその写し」についてですが、これは金融庁事務ガイドラインでは、建物の登記簿謄本(登記事項証明書)または賃貸借契約書の写しのほか、営業所周辺の地図、営業所の見取図および写真とされています。しかしながら、その営業所がATMやCDのみの場合には、添付書類は必要ありません。


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